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2024.01.26
今回のコラムでは船橋整形外科グループの脊椎・脊髄センター医師が腰椎椎間板ヘルニアの症状と治療方法について解説していきたいと思います。
目次
・ 人の脊椎(背骨)と椎間板について解説
・ 腰椎椎間板ヘルニアとは?
・ 腰椎椎間板ヘルニアの検査方法
・ 腰椎椎間板ヘルニアの症状とは?
・ 腰椎椎間板ヘルニアの治療法
・ 腰椎椎間板ヘルニアに対しての主な保存療法
・ 椎間板内酵素注入療法とは?
・ 椎間板内酵素注入療法の治療手順
まずは人間の脊椎(背骨)と椎間板について簡単に説明させていただきます。そのあと、腰椎椎間板ヘルニアとはどういった病気なのか解説させていただきます。
通常脊椎は、頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙骨から構成されています。脊椎は椎骨という骨が積み重なってできており、椎間板はその間にあるクッションを指します。椎間板の中心に髄核があり、周囲を線維輪が囲んでいます。
椎間板に何らかのきっかけで負担がかかり、線維輪から髄核が飛び出すことがあります。この突出した部分がヘルニアと呼ばれています。ヘルニアが神経を圧迫すると下肢の痛みやしびれなどの症状が出現します。なお悪い姿勢での作業や喫煙などでヘルニアが起こりやすくなります。
まず画像診断を行う前に徒手的検査を行います。下肢の感覚異常の有無や筋力低下のチェック(神経学的検査)、下肢伸展挙上試験(SLRテスト)、大腿神経伸展試験(FNSテスト)を行います。
画像診断では椎間板はレントゲンには写らないため、MRI検査が有効とされています。MRI検査は神経や筋肉を描写することができるため椎間板ヘルニアの検査に適しています。また、放射線を用いないため身体に対しても低侵襲です。他にも状態に応じてCT検査や、造影剤を注射するミエログラフィ検査なども行われることがあります。
片側の足に痛みやしびれなどの症状ができることが多いです。ふくらはぎやすねの外側などに痛みがみられます。また、痛みだけでなく筋力低下が生じ、足を持ち上げにくいなどの症状が出ることもあります。さらに重症の場合では尿が出にくいなどの症状(排尿障害)が生じることもあります。
重症でない場合は手術ではなく保存療法からはじめるのが一般的です。保存療法で経過を見てゆくうちに症状が治まることもあり、長期的にはヘルニアが自然に縮小することもあります。保存療法で効果が認められない場合や重症の場合は手術療法が検討されます。なお、排尿障害や排せつ障害は生じた場合は緊急で手術を行うこともあります。
① 安静
腰に負担のかかる動作を避け、症状が緩和する姿勢をとるようにします。
② 装具療法(コルセット)
コルセットにより腰を固定し、腰部にかかる負担を減らします。
③ 薬物治療
炎症を抑えるために鎮痛薬などを服用するのが一般的です。また湿布薬や塗り薬などの外用薬を併用することもあります。
④ リハビリ
ある程度痛みが緩和してくれば、腰部にかかる負担を減らすよう、ストレッチや腹圧を高める体操などを行います。
⑤ 神経ブロック
痛みを生じている神経やその周辺に局所麻酔やステロイド薬などの薬剤を注射します。
当院では薬剤を椎間板に注入する椎間板内酵素注入療法と呼ばれる治療方法も行っております(手術療法とは異なります)。椎間板内に酵素を含んだ薬剤のヘルニコア®を直接注射して、ヘルニアによる神経の圧迫をやわらげます。ヘルニコア®を注入すると髄核内の保水成分が分解され、髄核の膨らみが緩和されます。入院期間は1泊2日となります。
① 手術室で局所麻酔下に行います。レントゲン透視装置で椎間板ヘルニアのある椎間板を確認しながら、針を刺す場所を決めます。
② 針を刺す位置を消毒し、皮膚と皮下組織に局所麻酔薬を注入します。
③ 椎間板ヘルニアのある椎間板内に針を刺し、ヘルニコア®を注射します。
④ しばらく安静にします。薬による副作用がないかなどの確認をします。
⑤ 当院では、1泊入院し、翌朝問題がなければ退院帰宅できます。
【注意点】
過去にヘルニコア®による治療を受けた方は再度受けることはできません。またアレルギー体質の方や他の脊椎疾患が合併している方は注意が必要なので治療前に医師への相談が必要になります。
次回は「腰椎椎間板ヘルニアの手術療法について整形外科医が解説」を掲載させていただきます。
執筆者 医師:小島敦
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